CANACO

サイコのCANACOのレビュー・感想・評価

サイコ(1960年製作の映画)
3.7
1960年公開。ジャン=リュック・ゴダールの「勝手にしやがれ」、ルネ・クレマン「太陽がいっぱい」、ビリー・ワイルダー「アパートの鍵貸します」と同年に公開された作品。

約30年ぶりの鑑賞で内容を完璧に忘れていたが、かなり面白かった。原作があること、その原作はある実話からインスピレーションを受けて執筆したという。それがあったからこそだと思うが、なければ当時でノーマンの役作りは大変だったのでは。

不倫関係にある男性のため、職場にキャッシュで入金された4万ドルを持ち逃げしようと車で逃亡する女性。
当時は1ドル360円程度だったので、4万ドルは1,440万円ほど。大卒の初任給が1万800円ほどだった時代らしい。

普通はこの逃避行劇の行方を見守るストーリーになるが、「サイコ」はあっさりと裏切る。途中宿泊したモーテルで彼女は殺害され、サイコミステリーに変わる。この展開だけでも面白いし、かなり斬新なストーリー展開が続く。
心理分析は今とほとんど変わっていないが、当時はちゃんと説明しないと観客がついてこられなかったんだろう。医師がよくしゃべる。

ヘイズ・コード(Hays Code)というアメリカの業界団体が1934〜1968年くらいまで実施していた自主的な規制により“健全”な表現で制作されているらしい。だからなのかわからないが、これだけハードな内容にもかかわらず、裸も傷もトイレの中すら映っていない。

サムは原因をつくった男性なのに自責の念が少なそうで、姉ともうまくコンビが組めていた点も不思議だった。共通の目的があるとはいえ、ちょっと。

と、撮り方や設定の一部に違和感はあるが、今なお面白い。
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