ダイナ

サイコのダイナのネタバレレビュー・内容・結末

サイコ(1960年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ヒッチコック監督のサイコサスペンススリラー作品。ボスや警察、管理人の目によりつきまとう不安さの演出、素性不明の管理人家族の謎がスリルを盛り上げる作り。メインテーマが誘う緊迫感が好き。序盤の警察に追われてる時のサスペンス部分結構好きだったりします。会話中ベイツが豹変していきクレインが焦る様子なんかも安心して心開いたらヤバい奴だったかも…みたいな遅効性があるスリラーで良き。金を持ち逃げしたクレインが主人公かと思いきやベイツの犯行を皮切りに主役が代わる構成は良い意味で予想から外れた進行、そしてサイコな役柄により一際異彩を放っているベイツ役のアンソニー・パーキンスが素晴らしい。映画ジャケットのシャワーシーン、カーテン越しに迫るシルエットは予想がついていてもギョッとさせられます。

意外と笑えてしまう所が多い本作。私立探偵アーボガストとベイツの会話シーン、相手の粗や矛盾を突く探偵の言葉巧みな話術に見惚れると同時に一方的にやり込められるベイツの怪しさがMAXすぎて笑えます。探偵の強キャラ感からのあっさり退場は面白くもあり残念でもある。車が沼に沈んでいく途中で止まった時に焦るベイツもサイコながら人間味が見えて面白いです。クライマックスのカツラを被ったベイツがはしゃいでいるジムキャリーっぽく見えてしまったのは自分の落ち度。

精神科医の解説は最後に詰め込みすぎてる感じがあるもののラストの独白という最大の捻り、アンソニーの表情作りが観客側に不安を刻みつけてくるようでとても良かったです。「誰もがみんな罠にハマっている。その罠から逃れることはできない」皆罠にハマってましたねえ。この映画でドキドキすること自体が監督の仕掛けた罠にかかったような。
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