60年以上も前の作品なのに色あせしない…。何度再鑑賞しても楽しませてくれるから最大スコア。世代でなくても当時の観客が直面した斬新さや驚きを容易に想像でき、ヒッチコックが巨匠であることを感じ取れます。ヒッチコック作品未見の方でも期待を大にしてもいい作品かな。
あら、この人ここで終わり？とか、予想できない展開に振り回されるのはヒッチコックのせい。
ジャネット・リーが扮するOLが犯罪に手を染めるころから映画全体の色彩が少しづつ黒に支配されていく。「全てを捨てて逃げるだけ逃げなきゃ……」警察から追われる立場となる彼女にググッと共鳴してしまいます。そして、さりげなくも緻密な演出で、いつの間にか周りを見渡すと暗い霧に包まれた感覚に陥ってしまう。
町外れのモーテル。それを見下ろすようにただずむ母屋。モーテルの応接室に置かれた剥製たち。オドオドした受付のお兄ちゃん。
ふと気付くと、ヒッチコックが織り成すめくるめく狂気の世界にようこそ、という感じ。絶妙なB級感がやみつきになる…。
