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ヘヴンズ ストーリーのkaoruiのレビュー・感想・評価

ヘヴンズ ストーリー(2010年製作の映画)
4.5
瀬々さんの作家性全開でいちばん好き。ほぼ全編手持ちで超長尺のため体力のある時を見計らって再鑑賞した。
やはり凄い。廃墟、草原に誇り高く屹立する大きな木など、なんとも素晴らしい絵の中繰り広げられる不条理な運動を革命的(といって良いと思う)なショットでとらえる。

絶望から虚無に囚われ浮浪する人々。皆の抱える虚無が一点に集まり各人各様の決着を迎えるのだが、彼らの慟哭を喰らいつくように(としか呼びようがないんです)フレームにおさめる。瀬々作品はほぼ全てに共通するもので監督が追い続けているものなのかもしれない。
慟哭の果て天国に集う人々のシーンは何度見ても心に迫る。少年の頭上の悠々と飛雄するカモメ、繰り返される人形浄瑠璃、
バスの中で突然始まる演奏。

何年後か体力ある時にもう一回観るぞ。
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