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ヘヴンズ ストーリーのCinemanのレビュー・感想・評価

ヘヴンズ ストーリー(2010年製作の映画)
4.0
『ヘヴンズストーリー』
瀬々敬久監督
2010年公開

【Story】
両親と姉を殺害されただ一人残された8歳の少女サトは祖父に引きとられることになった。
引っ越しの最中に通りかかった電気屋のショーウインドーのテレビで殺人鬼に妻子を殺された男が「法律が許しても、僕がこの手で犯人を殺してやります」と記者会見しているのをサトは目にした。
その日から犯人に復讐すると言い放ったその男がサトの憧れる英雄になった。
16歳になったとき憧れの男の居場所が分かりサトは男に会います。しかしその男はすでにあたらしい妻と子どもとの幸せに暮らしており復讐のことなどは忘れていました。
サトは男に何度も会いに行き復讐をするように訴えます・・・
この後、様々な人間関係が複雑に絡み合いながら物語はすすみます。

【Trivia & Topics】
*圧倒的な廃墟の風景。
多くの人間の愛憎物語が絡むこの物語の中でも一際目を引くのは廃墟と化したマンモス団地の風景です。
岩手県岩手郡松尾村(現在の八幡平市)にあった旧松尾鉱山緑が丘団地です。
標高900メートルの無人の山間を切り開いて建てられたこのアパート群は硫黄鉱山で大繁栄した頃に建てられました。
この鉱山には1920年頃1,132人だった従業員が最盛期の1960年には103,594人に達しました。
集合住宅のほか、病院、小・中・高校、郵便局、芸能人を招いて公演を催す会館など、当時の日本における最先端の施設が完備され、「雲上の楽園」理想郷だと言われていました。
ところが1969年には松尾鉱山の全従業員が解雇され1972年に鉱山は閉山となり住人たちは町を捨てました。
荒廃した雲上の楽園がこの映画の重要なキーワードにもなります。
ちなみにこの廃墟は日本3大廃墟の一つだと言われています。

*異形の踊りyumehinaと百鬼どんどろ。
この映画に何度か登場する「yumehina百鬼ゆめひな」と「百鬼どんどろ」の踊りもエロチックでグロテスクでこの奇妙な映画にみごとに溶け込んでいます。

【5 star rating】
☆☆☆☆
(☆印の意味)
☆☆☆☆☆:見事な作品
☆☆☆☆ :面白い作品
☆☆☆  :平凡な作品
☆☆   :残念な作品
☆    :退屈な作品

4時間38分観終わった後「いったいこの映画は何だったんだろう」と放心状態になりました。
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