牛猫

東京人間喜劇の牛猫のレビュー・感想・評価

東京人間喜劇(2008年製作の映画)
3.5
東京を舞台に、日常の違和感や孤立感を表現した3本の作品から成る群像劇。

3本の順番が良かった。
だんだんとボルテージが上がっていってクライマックスで爆発する感じ。
東京といっても都会の喧騒といった感じではなく、小田急線沿いの落ち着いた場所が舞台。

3つともそれぞれ違った趣があって良かったけど、2本目のカメラマンの女の子の話が特にお気に入り。笑いと悲しみが同居した面白さがある。誰もこないパーティー会場で1人寂しく後片付けをする姿は、アニメ版巨人の星のクリスマスの話を彷彿とさせた。

とにかく役者がみんな自然だった。それだけに余計心をえぐってくる。人と人との関係性なんてほんの些細なことで破綻してしまうということ。
「己の魂以外は己のものと思うなかれ」ってまさにその通り。

次から次へと通り過ぎてしまうようなニュースで流れる事件一つとっても、一方的に消費するだけになって忘れてしまいがちだけど、その人たちには一つ一つの人生や考え方があるということをこの映画を見て改めて気付かされた。

この後味の悪さは癖になりそう。
牛猫

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