「白猫」「写真」「右腕」の3話からなるオムニバス形式。主人公は変わりつつも、それぞれ登場人物および物語が重なっている。
「白猫」「写真」までは、紛れもなくロメールだ!深田晃司、優しい……と思って見てましたが、「右腕」で突然シャブロルになったじゃん……『ほのりの蒴子』でも思ったけど、深田さんは間違いなくロメールフォロワー(ロメールっぽい、というかロメールなんですよ)でありながら、ロメールはやらなさそうな苦味を後半に持ってくることで独自のスタイルにしてる。
トークショーで深田さんが「ロメール作品は、突然災難が降りかかるのと同じように、突然幸福が訪れる」と言っていて、私もロメールのそういうところが好きで大変納得したんだけど、まさに深田さんの作品(特に「白猫」)でもそれを感じられる。
「写真」はまともに写真も勉強してないが自信だけはある主人公が個展を開いてみたものの誰も写真を見に来てくれないという、なんとも身につまされる作品。この主人公が傲岸不遜でたしかに鼻につくんだけど、嫌な奴として描かないところが深田さんの優しさであり、ロメールだと思う所以。
エピグラフや会話劇、そして編集の無駄の無さまでロメールだ。