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東京人間喜劇のlpのレビュー・感想・評価

東京人間喜劇(2008年製作の映画)
3.3
先日終了した「深田晃司映画まつり2018」にて鑑賞。

深田晃司が初期に撮った3編の中編からなる本作。
最初の『白猫』は大人しい映画で、「深田晃司も初々しいなぁ~」なんて思っていたけど、2編目の『写真』からは力量の高さがしっかり伝わってきた!
『写真』は写真の個展を開いた女性の話なのだけれど、この主人公の女性(『ジェファソンの東』にも出演した荻野友里が好演)がとにかく「痛い」。自分では才能があると思っていながら、プロとの差は歴然としていて、開いた個展には1人の訪問者もいない・・・という勘違いを極めた主人公を、徹底して突き放して描く。孤独を抱えた主人公のすぐ側で暖かい世界が広がる落差には、観ているこちらも少し辛くなってしまった。

3編目の『右腕』も良い。こちらは交通事故で右腕を失った後も幻肢に苦しむ男と、彼を支える妻の物語。
何処か禍々しく、ダークなトーンで映画は進み、ラストには夫婦間の秘密を暴露する・・・という比較的に手垢の付いた話ながら、演出の力でグイグイ惹き付ける。

140分の長尺を苦にしない力作の連作中編集でした。
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