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イディオッツのgigigiのレビュー・感想・評価

イディオッツ(1998年製作の映画)
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これを映画館で見れたというのはありがたすぎる。

愚かでいることは素晴らしい、色んな意味で捉えられてしまうから、はいそうですねとは言い難いけれど…劇中でカレンがいうから意味のある言葉であって、そこらへんの若者が言っていたらぶん殴ってやりたくなりそうだ。

正直、わたしも一度はあんなことしてみたい、と思うけれど、1人でやる勇気なんてもちろんなく、(あのサークルも結局、1人でやれる度胸のあるやつはいなかったわけだけど)ラストシーンのカレンの行動は涙がでそうになった。
シュールなコメディでもなんでもなく、カレンという人間の人生の分岐点となる2週間を覗ける映画だった

ほぼアドリブで進んでいたというこの作品、ほんものの障がい者たちが出てきた時の演者たちの顔よ。あそこが世界の全てというか、「差別」ってこれだよな、というのが生々しく映し出されていた。
もちろん私は「差別なんてしません!」なんていう綺麗事は生まれてこのかた一度も口にしたことがないのでストファーのいう「ガス室で殺しちまえ」発言をなんてひどい!信じられない!!!!なんて気持ちでみることもなく。(もちろん口にする必要もないしそこまでの感情はわかないが)
ただ、彼が映画の中でいちばんの差別者だったというのはなんだか皮肉で、
ファシストファシスト裸で叫ぶくせになんなんだよ、と終始イラついてしまった。
どっちかに偏ってろよ、と。でも人間なんて所詮そんなもんで、差別するとき、されるとき、別にしない時あるんだよなあ。本当都合のいい生き物だよなあ。

とても愉快に描かれていたリアルなセックスシーンは散々彼らを観ていたあとだと何の違和感もなく、むしろもっとセックスシーンがあってもいいのではと思ったくらい。
この映画、ぼかしありだったらすごいつまんなそうだなあ。シャワールームでも道端でもトイレでも丸出しだというのはとても必要だったと思う。

気分爽快!でもなく、他人にも薦めよう!ともならない、ただこの作品を観れたというのは今後の人生に大きくのしかかってくるし、「私にとっては」必要な作品になった。
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