め

イディオッツのめのレビュー・感想・評価

イディオッツ(1998年製作の映画)
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この話はカレンが彼らに出会うシーンで始まった

彼らは障がいのある人の演技をしに
街へ出る

質感はvlogの延長のようで
光が飛んだり影が潰れたりする眩みに
あったか無かったかもう分からない
曖昧な記憶や体感の断片を見た

豊かさとは 幸せとは 愚かさとは
最近なにを観てもその問いが頭をちらつく

これは私が5歳の時に作られた映画
なのだけれど今観ても世界はその視点では何も変わっていないのだなと溜息が出た

ガッコの先生が教室に戻り講義を始めたシーンを観て
村から出たらそりゃあ愚かになれまい
と思った

今の時代は、なんて言わない
いつだって
ひとりでは生きのばすのも辛い
村がなければ

共同体は外部と区別し
セーファな場所として機能するために
方言や文化や価値観やノリが独自発展する

自分にとっての豊かさや健やかさを
ひとりで育み
セーファな土壌を耕せたとしても
続く保証はない
時に普通という一般化された偏見に
野暮に崩されることも容易い
それは一瞬だ

愚かさという幸せの価値を感じていても
それを自分自身で根を張ってきた他の社会にひとりで適用したって幸せになれないよ
出来ないよな

最後のカレンの姿ををみて
わたしはなぜ愚かになりきれないか
そうなれないわたしも愚かだ
とも感じている

社会的に批判されることだとしても
そうするしか生きられない人の生きる場所は必要だし
そんな社会なら家族でさえ要らないと意思表示しているような
知ってしまったらもう戻れないあのどうしようもなさ

インタビューで聴いた
恥も品もないという言葉が好きだった
め