mh

ボスニアのmhのレビュー・感想・評価

ボスニア(1996年製作の映画)
5.0
ボスニア戦争を扱った最初の映画とのこと。
タイムラインが三つも走ってる。
①ユーゴスラビア戦争およびボスニア戦争が始まる直前の幸せな幼少期。
②籠城戦のセルビア人兵士たち。
③ベオグラードの病院にいる②のメンバー。
構成は複雑だけど、混乱することなく理解できる。
展開にこなれた感じもなく、またテクニカルでもないんだけど、そのあたりはプラスに働く。
乳牛が迷い込むくだり、飲尿のくだり、恩師を射殺するくだり、独特でパンチのあるエピソードが積み重ねられた結果、かなり物語に引き込まれる。
敵と味方で同じ歌を聞いて歌って育ってきたというプロットすごい。
青姦中の男女がチトー大統領が亡くなるニュースに涙するのもいいね。チトーがいなくなったら、もう仲良くできないじゃないか!というのが、共通認識だったというのが、日本にいるとなかなか理解できないメンタリティ。
これまでの登場人物が全員トンネルのなかで死んでいるというラストカットなんだけど、これはもちろん、ボスニア戦争で起こった民族浄化を示している。
視聴困難だし、ぜんぜん期待してなかっただけに余計にドスンときた。海外では高評価だった。こういう映画こそ、サブスクで見られたらいいんだけどね。
病院のあるベオグラードは「アンダーグラウンド(1995)」の舞台でもあるので、エミールクストリッツァの描き方との違いも楽しめる。
なんと一年違いか!
見る機会あったら、ぜひとも!
mh

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