ちろる

フレイルティー/妄執のちろるのレビュー・感想・評価

フレイルティー/妄執(2001年製作の映画)
3.8
俳優・ビル・パクストンの初監督作品。
低予算で作られ一部の地域のみに公開されていたものの、その衝撃の内容が話題を呼び、全米公開された話題作。
ほとんどがマシュー・マコノヒー演じるとある連続殺人鬼の兄フェイトンの記憶を辿る語りとして描かれ、それに耳を傾けるFBIのドイル捜査官、そして過去のフェイトンと、弟、ビル・パクストン演じる父親による回想劇となっているのだが、とにかくビル・パクストンの演技がやばい!
正しいことをしている、自分が聖人であると信じ、特別だと信じている人間の光のない眼はあまりに真っ直ぐ故に恐ろしいのです。
ある日、優しきシングルファザーは神の啓示を受けたと言って、世直しをするヒーローとなるべく息子たちを残虐な世界へと誘う。
「信心深さ」は時に人から人間らしい生き方を奪ってしまう。

「悪魔なんて信じない!お父さんおかしいよ!」と必死に叫ぶ長男とは真逆に「僕も神の啓示を受けた」と父をまるで聖人のように崇める弟。
田舎町で幼い少年が、信心深く勤勉な父親のありえない所業を告げても信じてもらえるはずもない。
一番信頼していた存在が、突然理解できぬサイコパスになるといことがどれだけ恐ろしいことか想像は容易につくが、こんな風に映像によって追い詰められることで恐ろしさはより一層リアルに感じられる。
幼少時代の子役の少年がとても可愛いだけにやるせないです。
残酷な描写はあるもののグロい映像はほぼなく、脚本と演出だけで精神的に十分追い詰められるのでグロ系苦手なサイコスリラー好きにお勧めの作品です。
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