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アダム氏とマダムのほーりーのレビュー・感想・評価

アダム氏とマダム(1949年製作の映画)
3.5
【飾りじゃないのよ涙は】

スペンサー・トレイシー&キャサリン・ヘップバーン共演作の中でも最終作『招かれざる客』と並ぶ代表作だと思う。

『アダム氏とマダム』。これまた邦題のつけかたが巧い。

検事のスペンサー・トレイシーと妻で弁護士のキャサリン・ヘップバーン。浮気していた夫を見つけて逆上した妻が夫に発砲した事件を、それぞれ検察側、弁護側で担当することに。

元々、女性差別問題に取り組んでいたヘップバーンは、この裁判で無罪を勝ち取ることで世間に対して女性の地位向上をアピールしようと考える。

一方、トレイシーは裁判が進むにつれ、夫婦間がギクシャクしていくことに頭を悩ませる。

シチュエーションの良さと演者らの巧さに魅せられる作品だった。

トレイシーとヘップバーンを筆頭に、ジュディ・ホリデイ(『ボーン・イエスタデイ』)、トム・イーウェル(『七年目の浮気』)、ジーン・ヘイゲン(『雨に唄えば』)、デヴィッド・ウェイン(『百万長者と結婚する方法』)と芸達者が揃っている。

パーティーの準備で夫婦が家のなかを行ったり来たりするのを固定カメラで撮ったりと舞台劇のような演出をわざと行っている。いかにも舞台監督出身のジョージ・キューカーらしい。

ちょっと裁判シーンのギャグがこてこて過ぎて少しひくが良いシーンも多い。

主演二人のプライベートの8ミリ映像は、『ザッツ・エンタテイメント PART2』にも出てきたがとっても微笑ましく、そして今は亡きトレイシーとヘップバーンを思うと少し切なくなってくる。

■映画 DATA==========================
監督:ジョージ・キューカー
脚本:ルース・ゴードン/ガーソン・ケニン
製作:ローレンス・ワインガーテン
音楽:ミクロス・ローザ
撮影:ジョージ・J・フォルシー
公開:1949年11月18日(米)/1950年7月8日(日)  
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