ロケットの速さ

落穂拾いのロケットの速さのネタバレレビュー・内容・結末

落穂拾い(2000年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

おれの精神性が出演してました。

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廃棄される作物や食糧品、家具家電などを拾って生活(あるいは創作)しているフランス各地の人々に話を訊いていくドキュメンタリー。

アニエス・ヴァルダ監督の作品は初めて観ましたが、「問題提起」というよりはただ素朴にその瞬間の興味を辿っていくような展開、テーマに対しての堅苦しくなさ、そしてちょくちょく顔を覗かせる静かな茶目っ気が本当に愛おしい。おれこの人好きだなー

撮影の合間、自らの老いを何度も客観的に見つめていた監督が、映画終盤、ゴミ捨て場で見つけた「針のない時計」に自分を重ねて持ち帰るシーンですこし泣いてしまった。

世紀の変わり目でどこか浮ついた1999〜2000年に跨がって、人々の飾らないありのままをハンディカメラで撮影した映像たち。
ドキュメンタリー(ノンフィクション)であるにも関わらず、あるいはだからこそ、偶然の出来事や出会いに何度も祝福されているかのような作品でした。

一生のうちにこんなものを撮れたらどんなに幸せだろう。