不在

落穂拾いの不在のレビュー・感想・評価

落穂拾い(2000年製作の映画)
3.8
落穂とは言うなれば誰からも見捨てられた存在だ。
落穂を拾う人々は、社会から見れば彼らこそが落穂なのだ。
そしていつの時代にも、捨てられたものを拾う人がいる。

ミレーは旧約聖書の貧しい人々からアイデアを拾い、あの有名な『落穂拾い』を描いた。
社会から見放された存在を、芸術へと昇華させたのだ。
更にそれを基にアニエスはこの映画を撮り、同じくそういった人達を芸術品に仕立て上げた。
我々は愚かにも、それが芸術になって初めてその存在の美しさに気付かされるのだ。

貧しい人はいつの時代も存在している。
そういった社会から捨てられてしまった人々を拾う人間がいなくなる事こそが、本当の貧しさなのだろう。
不在

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