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落穂拾いのかーのレビュー・感想・評価

落穂拾い(2000年製作の映画)
4.3
拾うこと、についての映画。
落穂、トラクターが拾い漏れた果実、捨てられた人形、廃品回収、なんとなく気が向いて撮った映像、、ある見方だとゴミ、ガラクタだけれど、その人の見方とその素材の組み立て方によって別の何かに変わり、意味が生まれる。生きる面白さが詰まっていた。同時に「所有」について考える作品でもあった。この世界の物はほんとうは誰のものでもないのに、人間が生きやすくするために生まれた概念だよなぁと。拾うことと所有は違う。

自分の手の皺を撮って獣みたいと言ったり、剪定バサミを揺らしながら歌う家族を見て「カメラの蓋のダンス」を撮ったり、おちゃめなところも垣間見えて楽しかった。不廃物、残り物、カケラ、カビやゴミを「好きなもの」と言うアニエスヴァルダだからこそ撮れた作品だった。

「こうなりたいと思った決意がうまくいくことが成功だ」最後に出てきた、新聞配りしながら市場で野菜とか拾って節約して、シェアハウスで毎晩外国人にボランティアで授業してたおじさんとてもカッコよかった、、

坂口恭平さんの本が好きで結構読んでいるのですが、彼の生き方に近い何かを感じてとても心踊ったとともに、映像作家の彼女が「拾うこと、集めること」を撮ってくれて一層説得力があった。「映像の落穂拾い」。アニエスヴァルダ大好き、、!
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