スガシュウヘイ

アバターのスガシュウヘイのレビュー・感想・評価

アバター(2009年製作の映画)
4.0
「世界は人類なしに始まったし、人類なしに終わるだろう」
(レヴィ=ストロース『悲しき熱帯』)

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地球にエイリアンが攻めてくる話はあまたあれど、人類が他の惑星を侵略する話はあまりない。

しかし、世界史を勉強すればわかることだが、他の文化への侵略は主に西洋人が繰り返してきた歴史なのだ。

決して空想のお話ではない。

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“あいつらは木の上に住んでる不潔な未開人だ”
大佐は、そうまくし立てる。

しかし、人類が先進的で、ナヴィが未開などという考えは傲慢だ。

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冒頭の引用、レヴィ=ストロースは、未開社会にも文明社会に匹敵するような精緻で合理的な思考が存在することを論証した。

この論証は、本作の哲学をそのまま表していると思う。

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・今見返しても圧巻の映像美
・先進的とは何か?未開とは何か?我々は本当に先進的なのか?という問題提起
・民族を超えた心の交流

それらが丁寧に描かれており、歴代興収1位も納得の名作だ。


ただ、ちょっと尺が長すぎるのが玉に瑕。


公開:2009年
監督:ジェームズ・キャメロン(『タイタニック』『ターミネーター』『エイリアン2』)