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アバターのYYamadaのレビュー・感想・評価

アバター(2009年製作の映画)
4.0
【SF映画のススメ】
◆作品名:
アバター(2009)
◆SF映画のジャンル
近未来叙事詩
◆類似作品
・ジョンカーター
・エンダーのゲーム
・ダンス・ウィズ・ウルブズ

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・22世紀、人類は希少鉱物を求めて地球から遠く離れた神秘の星パンドラで「アバター・プロジェクト」に着手。「ナヴィ」と呼ばれるパンドラの種族と人間のDNAを組み合わせた肉体=「アバター」を操ることで、人体に有毒な大気の問題をクリアし、鉱物を採掘することが可能になった。
・この計画に参加した元兵士ジェイクは車椅子の身だったが、アバターを通して自由に動き回ることができるようになった。パンドラの地で、ナヴィの族長の娘ネイティリと恋に落ちたジェイクは、パンドラの生命を脅かす自身の任務に次第に疑問を抱くようになり、星の運命を決する選択を迫られていく…。

〈見処〉
①観るのではない。そこにいるのだ——
・『アバター』は、2009年に製作された叙事詩的SF映画。
・出演は主人公ジェイクに『ターミネーター4』のサム・ワーシントン。共演に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』ゾーイ・サルダナ、『エイリアン』のシガニー・ウィーバーほか
・構想14年、製作に4年以上—寡作の巨匠ジェームズ・キャメロンが『タイタニック』(1997)以来12年ぶりにメガホンをとり、脚本・製作・共同編集を兼務して完成させた本作。
・その画期的な視覚効果を高く評価され、12年間記録を保持していた『タイタニック』を上回る、20億ドル以上の興行収入を記録した初の映画として、興行収入世界歴代1位の作品となった。その後『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)に抜かれるも、2021年に中国を中心とした再公開による興行収入の積み上げにより、歴代1位を奪還している。
・批評家からも高く評価された本作は、第67回ゴールデングローブ賞にて作品賞(ドラマ部門)と監督賞を受賞。第82回アカデミー賞では、9部門にノミネートされたが、作品賞、監督賞の主要部門はキャメロン元妻のキャスリン・ビグロー監督の『ハート・ロッカー』に獲得され、撮影賞、美術賞、視覚効果賞の3部門のみ受賞となった。
・本作の成功を受けて、キャメロンは20世紀フォックスと4本の続編製作を契約。『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は2022年12月16日に公開。以降の続編は2024年12月20日、2026年12月18日、2028年12月22日に公開予定である。

②3D映画
・1954年のヒッチコック監督『ダイヤルMを廻せ!』を代表とした専用眼鏡を用いた立体映画は、20世紀初期から撮影・上映されていたが、劇場の上映方式の規格化などに制約があり、長くテーマパークのアトラクションが中心であった。
・しかしながらウォルト・ディズニーによる『チキン・リトル』(2005)にて、デジタル上映による3D映画が初登場。
・翌年の2006年には、ジェームズ・キャメロンが本作を3D撮影するため、1台のカメラ本体にハイ・ディフィニション・カメラ2台を搭載し、従来の3D映像になかった「奥行き感」の表現に成功した「フュージョン・カメラ・システム」を発表。
・本システムの登場と『アバター』の成功により、以降ハリウッドや日本でも多数の立体映画が製作されるようになり、「日経トレンディ」が選ぶ「2010ヒット商品ベスト30」では「3D映画」が2位に選出されている。
・しかしながら製作費の高騰や、劇場でも2D版が3D版の興行収入を上回るようになると、3D版上映はIMAXや4DX、ドルビーシネマなど特別スクリーン上映に集約されるようになり、通常スクリーン上映では2D版のみとなる作品が大半となっている。
・また、家庭における映画視聴の分野においても、『アバター』以降、主に北米の映画市場で立体映画が商業的成功をおさめつつある事を受け、家電メーカーも立体映画の放送・パッケージソフト収録フォーマットの国際規格化に本腰を入れて取り組みはじめ、2009年12月にブルーレイディスクに立体映像を収録するための規格「Blu-ray 3D」完成を発表。2010年から3D対応のテレビやプレーヤー、ソフトなどが順次発売されたが普及に至らず、各社は撤退。現在では、VRグラスが家庭用の3D機器を担いつつある。

③結び…本作の見処は?
◎:「映像美の概念を打ち破る」…「浮き出る」に勝る「奥行きがある」ジェームズ・キャメロンの最新技術による3D映像は、惑星パンドラを覆う緑の世界観に対し、鑑賞者は高い「没入感」を得られる作品。劇場で見なければならない作品の代表格。
◎: キャメロン定番のたたみかけるアクション演出は、本作終盤シーンでも健在。
▲: 革新的な映像に対して、普遍的なストーリーラインに目新しさはないが、侵略者側にも一定の行動原理も描かれ、作品の安物感の阻止は出来ている。
▲: 公開から10年以上経過した現在の視点では、薄暗いパンドラの夜会シーンなど、リアリティに欠ける映像シーンも見受けられる。
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