サマータイムブルース

ファミリーのサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

ファミリー(1983年製作の映画)
3.5
アメリカのABCのテレビ映画で、実話ベースです

1952年秋、アイヴァン(フレデリック・フォレストさん)とルシル(アン=マーグレットさん)は10人の子どもたちと幸せに暮らしていました
ところがルシルは乳がんに侵され、余命幾ばくもないことを知ります
父親のアイヴァンはアル中でとても10人の子どもたちを委ねられる状態でなく、セシルは子どもたちを里親に出すことを決意します
そして、彼女の里親探しが始まります

この母親役どこかで見たなーと思ったら、こないだ見た「マジック」のヒロインの方でした

この父親がだらしない
飲んだくれで、痛風持ちで、関節炎で、仕事をサボったり、2、3日家に帰ってこなかったりするダメ亭主です
これだと家族から嫌われそうなものだけど、皆父親のことが大好き
ダメ亭主でも家族に対する愛情は深く、とても優しい旦那さんなのです

セシルが乳房を切除して「あなたに嫌われちゃうわね」と言うと「この14年で10人の子どもを作った、お前を好きな証拠だよ」と言うアイヴァン
確かにそうかも!!
でもお前が好きなのはS◯Xじゃね?と言いたくなりました
奥さんの負担や生活苦しいなら少しは避妊しろよ!!と思いました

セシルが丸テーブルを囲んで子どもたちと食事中に大事な話があるの、と話し始めます
自分は病気でもうすぐ天国に行くこと、あなたたちの里親を探して引き取ってもらうこと、だからいい子にしているのよ、と説明します
言葉を失う子どもたち
小さい子の中には理解できない子もいて、「天国にはどうやって行くの?」と無邪気に聞いてくる子もいます
見ているのが辛いシーンでした

里親は小さい子からどんどん先に決まって引き取られて行きます
里親探しを進めるセシルに、何もできず、ますます酒の量が増え、荒れて行くアイヴァン
妻もいなくなる、子どももいなくなる、そしてついにひとりぼっちになるのはさぞかし辛いことだろう、同情します
でもこれ、自分が不甲斐ないせいでもあるんだよな

セシルが病院を訪れ、診療中に友人の担当医から症状が悪化している、と言われます
するとセシルは「(ほぼ里親先が決まったのに)これで死ななかったら格好つかないわね」と冗談を言います
これは面白いけど笑えないジョークだわ

里親先がみんな決まった中、テンカン持ちのフランクだけは引取先が見つからず、施設入りになります
フランクの「(トランプの)ババ抜きのババを引いたみたい」と言うセリフが切ない
結局最後の最後に彼も里親先が見つかるんだけどね

フランクだけはテンカンという個性があって比較的目立っていたけど、子どもが10人もいると1人1人の個性を深掘りできず、母親とどんな愛情で繋がっていたかを十分に描ききれていなかったのは残念
映画という限られた枠で、10人いるのは実話なので仕方ないけど

決して絶望的な暗い映画ではなくて、明るく描かれていたのは好感が持てました

海外では富裕層が恵まれない子どもたちを引き取る「里親制度」や「特別養子縁組」はごくごく一般的に行われています
子どもは社会が育てる、と言う考え方が普及しているからです
それに対して日本はそのほとんどが乳児院や児童養護施設送りという現実
そんなことを考えてしまいました

☆りかさん、教えてくれてありがとう、とても感動したよ!!☆