真鍋新一

修羅の伝説の真鍋新一のレビュー・感想・評価

修羅の伝説(1992年製作の映画)
3.2
役名なので仕方がないが、「大滝さん、大滝さん」としきりに呼ばれる小林旭を見て大瀧詠一はなにを思ったのだろう。あまり悪い気はしなかっただろうと思う。それはさておき、大ベテランのアキラに周りが配慮したせいで&時代のせいでテンポが良くないものの、アキラのフットワークは衰えておらず、ここぞというところで真価を発揮する。もっと動かしてもよかった。これも時代のせいだがトレンディ風の演出もまったく蛇足で、ワザと平坦なカット割で本題のヤクザパートとの差別化を図ったのだろうが、残念ながら話を安っぽくするだけだった。わざわざニック・ウッドを起用した音楽も気が抜けている。バイオレンス描写は70年代の東映をちゃんと引き継げているのに、なぜ演出がこうなのか。時代を恨む。

俳優陣は三木のり平→小林旭→鹿内孝→清水健太郎→白竜→内藤剛志→坂上忍という組の序列で適材適所すぎる。1992年というギリギリのタイミングで成立したメンツ。そこに一匹狼の陣内孝則が絡んでくる。恩人のアキラにはひたすら低姿勢なのに、清水健太郎以下の相手にはクソデカ態度をとるところは面白かった。

特別出演のビートたけしとジョニー大倉がとにかく素晴らしいが、彼らがすべて持っていってしまった感じがするのも寂しい。万里洋子と秋野暢子以外の女性キャストにあまり魅力が感じられなかったのも残念。『アウトレイジ』の大友の精神は、アキラから引き継がれたものだったのね😢

脚本の黒田義之は、大映特撮出身の監督と同じ方だった。すごい。
真鍋新一

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