まや

暗殺の森のまやのネタバレレビュー・内容・結末

暗殺の森(1970年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

目黒シネマにて2本立てにて鑑賞。
構図やカメラワークなどがとても美しくてずっと画面を見ていたくなるような作品だった。

物語は幼い頃に正当防衛により人を殺してしまった過去を持つ主人公。そんなトラウマをきっかけにファシストへとなった彼の結婚や、秘密警察の仕事を中心に描かれていく。

まず、画面の構図色使いが本当にこだわっていることに引き込まれた。またカメラワークも見たことない角度から映し出されていてそれが作品の雰囲気をさらに強めていた。斜めに撮られているシーンは不快感を、枯れ葉を下から映し出されるシーンでは場面展開の強さがうかがえた。

それに加えて主人公と婚約者が電車でパリに行くシーンでの窓から映し出される夕陽と外窓から見える2人の姿が本当に美しくて息をのんだ。

主人公はずっと自分の罪が自分の奥底に潜んでいて、それから逃げている。全てをそれのせいにして秘密警察の仕事に没頭していく感じで見ていて痛々しかった。また、異常に普通さを求めて結婚するのもそれ自体が逆説的に普通ではなくなっていってる感じがした。

パリでの任務において、女性との出会いを果たすがこの2人が初めて対面するシーンもすごい。一瞬で惹かれあっているのがわかる。この後も、奇妙な三角関係へと発展するが、パリの女性の芯の強さと美しさには圧倒された。

観ていて物語は追うのがとても難しい印象だった。特に暗殺のシーンはいきなり現れて何度も繰り返し刺される、撃たれるという恐ろしさを痛感した。

結末としてはとても残酷なものなのもしんどかった。主人公はまた、新たな罪を抱えて生きていかなければならない。そのやるせなさか友人とのやりとりでこちらに向かってくる。ファシズム批判を強く感じた。

時代背景と主人公たちの怒涛の展開に目が離せない作品だった。また、ダンスの円を描くシーンも印象的。繰り返される時代の過ちを想起させられた。
まや

まや