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霧の波止場のarchのレビュー・感想・評価

霧の波止場(1938年製作の映画)
2.8
後に『天井桟敷の人々』を撮ることとなるマルセル・カルネ監督の作品。
特に特筆することが思いつかない作品だった。霧の波止場で女性と出会う。船でこの土地が抜け出そうとするもその女性の存在に後ろ髪を引かれる。結果女性を選ぶ訳だが、最後には凶弾に殺される。基本骨子であるこの部分はリアリズムとは聞こえがいいがさすがに21世紀からすれば陳腐に映る。
ただ、書いていて頭の中に残っていて良かったな思い出したのは、冒頭の自殺の場面かもしれない。最後の最後、どうやって自殺するかをバーの主人に伝えるところが切ないシーンになっている。彼の衣装をそのバックボーンを知らずに着る主人公は、波止場をある意味出ることで死んだその自殺者と対比されるように、波止場を出ない選択をした上で死んでいる。
犬の演出も相まってラストは良かった。
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