ビジネスとして他人を盗聴する、覗く側としての立場の主人公ハリーですが、逆に、他人に部屋に入られたり、彼女に見透かされたり、同業者に冗談で盗聴されたりすると、過剰な反応を見せます。
そして徐々に自分が監視されているのでは、というストレスが彼を追い込む皮肉な展開になっていきます。盗聴が仕事のわりに意外と信心深いハリーが、盗聴器を探してマリア像を破壊するシーンが強烈です。
録音した道端の貧しい老人に同情する女性の声を繰り返し聴くことで、その女性に共感した気になりますが、それがラストへの絶妙な伏線になります。
望遠鏡で他人を覗き見るような望遠レンズのショットが多く、盗聴という本作のテーマを象徴してます。