たか

白い馬の季節のたかのレビュー・感想・評価

白い馬の季節(2005年製作の映画)
4.0
 南モンゴル(中国では内蒙古と呼んでいる地域)のモンゴル人遊牧民の話である。時代や自然環境の変化する中、遊牧の民にとっては暮らしにくい時代になってきた。
 遊牧を捨てた人も、同時にどこか自分を捨て、偽りながら生きている。そして遊牧を捨てきれない人も、苦悩の中で生きている。この映画には幸せな光景が全くなかった。
 彼の気持ちも苦悩も痛いほどわかる。でもだからってどうする事もできない。時代を変える力やモチベーションがなかったら、時代の流れに乗って、少しでも幸せに生きるのが正解だろう... いや正解なんてなのだが...。
 いい映画だったが、切ない。時代の変化に対する無力さを感じる。モンゴル人監督と言っても、もしかして中国政府の同化政策の一環かもしれない... そうとさえ思ってしまう。
 これからのモンゴル、いったいどうなるのだろう。
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