婚約者の実家が大金持ちだったことをきっかけにそれぞれの価値観の違いから自分の生きざまを見つめ直して「人生の休日」を取ろうとする主人公のドラマも大人になり中々休めない私にとって感慨深かったが、そんな豪邸に閉じ籠って生活していたヒロインのキャサリン・ヘプバーンが能動的な主人公に触発されて家を出て独立するパートが後半メインになるのが女性映画の名手キューカーらしい。
ヒッチコックをはじめ映画を見終わったあと「そういえばあれは…」と何かに気づかされる作品は名作だと個人的には思っているが、本作もそれに当てはまる。前半の構成に気づいたとき、終盤の将来の指針を押し付ける家父長制に反発しぶつかるドラマが一層理解できてくるはず。
ケイリー・グラントはとんぼ返りが得意という設定でそれを応用したヘプバーンとのアクロバットな芸がインパクトを残すが、それがラストの伏線だったとは。
自分の職業や生きざまを父親に決められて酒に溺れた人生を送るキャサリンの弟がいい味を出していて、終盤の山場で決めてくれる。
あと趣味のいいあの部屋は思わず入りたくなった。