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流れるのmanonのレビュー・感想・評価

流れる(1956年製作の映画)
4.0
随分昔の作品ですからモノクロです。自分は若くなく、ある程度人生を経験したのが良かったのかも知れません。観て後悔のない、良い作品でした。芸者屋の女中を田中絹代さん。芸者屋のおかみは山田五十鈴さん。流石、三味線を持ち、粋な着物姿が抜群の山田さんでした。芸者とは華やかなイメージですが、裏ではそんなことはなくて、女ばかりの家の中では色々あるものです。芸者の親を継がない娘にとっては戸惑いがありました。それにしても年配の女の風格が素敵。言いまわしも味があって、見応えがある。一番年上の芸者を杉村春子さんが演じていたが、大女優らしく芝居の上手さをたんのうさせてくれる。十歳年下の男に棄てられ、酔って泣きながらのセリフには非常に胸に沁みて涙が滲みました。人生というものは、良いも悪いも何でも経験して乗り越えて、乗り越えてなくても、途中でも、後々、このような作品に出逢った時、「あー、わかる、とてもわかる...」共感できてしまうし心が動かされてしまう。堪らなく良かった。
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