日下勉

流れるの日下勉のレビュー・感想・評価

流れる(1956年製作の映画)
5.0
こりゃ凄い!
田中絹代は、原作を書いた幸田文の役柄の住み込みの女中役、これがまた細かいところに気が利く女中さんを見事に演じ、その彼女から見る芸者置屋の御姉さん達をこの映画は描いていくのだけど、もう先細り感がハンパない。真綿で首を絞められて行くようなところが、悲劇としてではなく、普通の日常として淡々と描かれる。山田五十鈴の置屋の女将さんと、娘の高峰秀子、芸者の杉村春子と岡田茉莉子と素晴らしい女優陣。
中でもラスト近くの杉村春子の啖呵を切るところはもう絶品。
そして栗島すみ子のラスボスぶりは見事。
あと脇を固める男優陣で加藤大介と宮口精二のクズぶりも見応えあり。特に宮口精二はこの置屋に災厄だけ起こしていく厄介者、こんなに厭な役を演じる宮口精二はなかなか観られません。

大傑作!!
日下勉

日下勉