宿題をできなかった理由を子ども達にインタビューするドキュメンタリー。
子ども達に真正面からカメラを向け、彼らのありのままの表情を映し出している。
聞き取りを通して窺えるのは、イランの教育システムが彼らに与える抑圧感である。
子どもたちは大人の労働力を補う存在として、家事や育児の負担を求められており、とても宿題に集中できる環境にいない。
一方で、宿題も完璧にこなさないと、親からの体罰が待っている。
大人は子どもに構う余裕もなければ、学もないので宿題を見ることもできない。
こんな状況に、子供たちは皆困っているようだった。
不思議だったのは「アニメより宿題が好き」と言う子どもが多いことである。
それが決して本音ではないこと、子どもたちが抑圧されていることが、ノンバーバルな仕草や表情から窺える。
語る言葉とは違う微妙な表情があるから、映像から目が離せない。
この子どもたちは今どんな大人になり、自身の子どもにどのような教育をしているのか。
本作は、1989年時点のイランの教育の現状を物語る材料の一つになっていると感じた。