Taira

ザ・クレイジーズ 細菌兵器の恐怖のTairaのレビュー・感想・評価

3.6
ポスタービジュアルに惹かれて視聴。ナイトオブザリビングデッドとゾンビの間の時代のロメロ監督作。人口3000人程の小さな町で、感染すると発狂して暴徒化してしまう軍の細菌兵器が流出するパニックホラーとのことで、ちょっとタイムリーな感じ。

展開は群像劇的。主人公的なポジションには、状況が分からず軍から逃げる若夫婦達がいたり、経緯を知る理知的な軍人がいたりはするけれど、能動的に状況を変える人物がいないので一見退屈にも見えるかも。ただコロナ禍を経た後だと誰も主導権を握れず流れるように状況が悪くなっていくのがリアルにも見えて、ある意味ゾンビシリーズよりハードだと思った。

防護服を着込んだ人が、狂った感染者とは言え普通の外見の人々をバサバサ殺していく様はまさに虐殺。ゾンビのような血が!肉が!というグロさはない分、家族殺しや近親相姦とか嫌悪感を抱かせるような描写を盛り込んでるように感じた。諸悪の根源の軍サイドも、開始15分程度で行き詰まって核とか言い出すのはかなりブラックジョークな感じ。上層部の緊急時とは思えないまったりした雰囲気は博士の異常な愛情を思い出した。やっぱりロメロ監督、巨匠と言われるだけあるなあと思った。
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