Bobsan

ザ・クレイジーズ 細菌兵器の恐怖のBobsanのレビュー・感想・評価

5.0
否が応でもコロナ禍を連想せざるを得ない作品ですね。軍の不手際で流出した細菌兵器によってアメリカの片田舎の住民たちが奇行に走ったり、凶暴化してしまいます。
ロメロ監督はコロナ禍前に亡くなっていますが(2017年7月16日没)、もしコロナ禍で存命ならおそらくコロナ禍にインスパイアされた作品を作っていたかもしれないというのは想像に難くないのではないでしょうか。
本作ではウイルスパニックの中で人間性が剥奪され、互いに殺し合う恐怖が描かれますが、全身を包む白い防護服にガスマスクという出立ちの軍人たちが、銃を携えて横一列になって歩く様はまるで人間性が感じられない恐ろしさがあります。
更に主人公がその防護服とガスマスクを身につけて敵陣を突破したものの、その為に恋人に気付かれなかったり、感染者から攻撃されてしまったりというクライマックスは「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」のラストにも通ずる寒々しいシニカルさに満ちていて、ロメロ監督の人間に対する突き放した視点が垣間見られます。
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