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チャイニーズ・ブッキーを殺した男のTLsのレビュー・感想・評価

4.1
プロットはありきたりなクライム物だが、極力映画的演出、編集を排除し斬新な作品に仕上がっていた。中国語タイトルや終盤のタイムラインが分からなくなるような演出で少し困惑するが、見終えるとこの作品がノワールであることは十分理解できた。

物語は借金を背負ったナイトクラブのオーナーがチャイニーズ・マフィアの殺しを強制させられるといった内容でかなり典型的なクライム映画のようだが長々と主人公の生活を映し出して、極力クライム映画のようなシーンを描かかず、淡々と主人公の生活を描いている。終盤ではハラハラする場面が2つあるが、環境音のみで描いており、これのおかげで作品全体がまとまったものになっている。一般的なノワールものだと、ロマンスをロマンスらしく描くことが多いが、この作品はそこも淡々と描いている。このことから、この作品をノワールとして評価するには観客の感性に委ねられるだろうと私は感じた。しかし、色使いなどは『ドライヴ』やマイケル・マン監督作品と似ているので、この映画に疑問を感じることはなかった。

主演のベン・ギャザラの喋り方も淡々としており、あまり感情を表に出さない所がこの映画の雰囲気と合致してよい。さらに、大半のシーンが落ち着いている分、感情を露にするシーンが印象に残りやすい。演者の衣装なども色使いは派手であるが、どこか落ち着いたものになっているのがよい。

ふと見つけたこの映画。私のような若造にはまだまだ早かったようだ。いずれ、色々と経験を重ねた後にまたこの作品を見るとしようか。
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