いがらむ

お茶漬の味のいがらむのレビュー・感想・評価

お茶漬の味(1952年製作の映画)
4.3
なにかをともに飲む、という行為がコミュニケーションの成立なのだととりあえず仮定してみると、この映画を作った小津安二郎とはとても明瞭な思考原理で世界を作り、宇宙に触れた作家なのだと改めて認識させられる。高度な経済成長を謳歌する日本の姿が何度目にしても新鮮だが、そこで交流する人々が集まり、飲み物を飲んでいる様が生き生きとしていて見ていて飽きない。ビールを飲んだり、日本酒を飲んだり、ラーメンをすすったりが、独特な音楽ともいえるセリフのやり取りの合間に差し込まれる。逆に、なにかをともに「飲まない」コミュニケーションも目を引くことになるが(味噌汁をご飯とともに書き込むことを怒られたりしてたっけ)、執拗に描写されるお茶漬けを(こっそり)作り、ともに食べる様はあまりにも美しい。
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