LalaーMukuーMerry

お茶漬の味のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

お茶漬の味(1952年製作の映画)
3.8
久々の小津作品、多分これで6作目。見終わって一番感じたことはタイトルで内容が思い出せる!ということ。私の中で、小津作品の一番の問題は、タイトルと内容が結びつかないことだったが、この作品は違う。絶対「お茶漬けの味」でないといけない。
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夫婦仲直りの象徴としてのお茶漬け。夫婦の間の雲行きがちょっと怪しくなって、話がどこに行くのかちょっと心配になっていたが、フライト延期のおかげで急転、ほっこり安堵の結末がよい印象をもたらす作品でした。
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「もうしない、あんなこと」と奥さんが素直に言うところから夫婦の間が急に近づく。旦那さんも、それを咎めることもなく頷くだけ。「おなかすいた」「食事にしよう」何気ない日常が大切なのですね。特にこの二人は女中さんに食事を任せている上流家庭の夫婦だから、普段入らない台所に入って二人で食材を探して準備することが新鮮で楽しかったのね。
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敗戦から7年、急速に復興をとげた東京の街並みや、当時生まれたばかりのパチンコ店の様子が新鮮でした。子どももいなくて家事も女中さんまかせ、暇を持て余し気味の上流家庭の奥さんは気楽なもんやね~とも感じました。