猫脳髄

くノ一淫法 百花卍がらみの猫脳髄のレビュー・感想・評価

くノ一淫法 百花卍がらみ(1974年製作の映画)
2.5
日活ロマンポルノの残酷時代劇。ロマンポルノは一定のフォーマットを満たしていれば、製作上かなりの自由度があったそうだが、これはあきれるほど度を越している。

幕府と秋月藩の政争に服部伊賀と風魔忍者が絡み、エロ忍法で殺し合うという一応の筋書きはあるが、正直、画面上何が行われているのかさっぱりである(※1)。どうやら妊娠した胎児を秘術で女体間移動させることが目的らしいが、それが何のためのどちら側の目的なのか、そもそも今絡んでるこいつは一体誰なのか、クソデカぼかし(※2)と照明不足も手伝って何が起こっているか覚束ない。

ただ、わが国のスプラッター映画のルーツたるロマンポルノらしく、残酷描写と特殊効果(くノ一の股間から謎の触手がビュン!)については力が入っている。終盤近く、前後関係を無視して主人公(宮下順子)が急に産気づくが、いきなり腹が膨らみ始めたと思うと、次のラストカットで幼児サイズの男の子が宮下の腹を破ってバァン!と現れた挙句、「終」のエンドタイトルである。この奇抜さは伊藤俊也「犬神の悪霊」(1977)に先立ち、さらには池田敏春「死霊の罠」(1988)の直接の祖先(※3)である。

とは言ってみたものの、やはり実態としてはイロモノであり、ロマンポルノの異色作群のなかでも極北だろう。まったく勧めない。

※1 冒頭で隻腕隻脚の男が強風とともに街路に転がり出てくるショットはオッと思わせたが…
※2 ぼかしとスモークの相乗攻撃のようなカットには咳き込みそうである
※3 池田敏春も日活出身である
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