シズヲ

リオ・コンチョスのシズヲのレビュー・感想・評価

リオ・コンチョス(1964年製作の映画)
2.7
盗まれた武器の密輸を防ぐべく呉越同舟の男達が旅に出る西部劇。北軍の白人大尉&黒人軍曹、アパッチを憎む元南軍少佐、処刑直前のメキシコ人、インディアンの娘という見事なまでの混成パーティーが印象的。それだけに途中でメンバーが一時離脱したり、時には一触即発の状況になったりと一筋縄ではいかない旅路が続く。

後のマカロニ・ウエスタンに繋がりそうな題材は興味深いものの、作風的にはどっち付かずなのであんまり面白くはない。寄せ集めチームのアンサンブルが物語の中核を成すはずなのに、彼らのキャラクターが総じて薄味で魅力不足。リチャード・ブーン辺りは惜しいところまで行ってるけど、あと一歩足りない感。その上でスター性のある役者も殆どいない(どちらかと言えばバイプレイヤー寄り)ので、どうしても華やかさに欠ける印象。派手なシークエンスが見られる割に道中も何処と無く散漫で乗り切れない。

ただ終盤はちょっと凄くて、敵の親玉であるエドモンド・オブライエンは南軍の敗北を認めずアパッチを束ねて拠点を作っている。軍隊の形式的な処刑儀式や建設途中の歪な宮殿などのシュールな描写に加え、合衆国の外部に打ち立てられた“狂気の王国”というイメージは最早『地獄の黙示録』のカーツ大佐じみてる。こいつの異様さはもうちょっと際立たせても良かったと思う。ラストの展開も中々に怒濤。
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