みーちゃん

バーディのみーちゃんのレビュー・感想・評価

バーディ(1984年製作の映画)
4.2
バーディとアルのことが、とても丁寧に描かれているから、どちらにも共感した。

私は、戦争であんな体験をしたら、あんな風になって当然だと思うから、白衣を着た医者の方が、人間の心を無くした異常な状態に見えた。

それを、そのまま訴えるのではなく、鳥になる幻想を交えて描いたことに感銘を受ける。そして、これをただの幻想や夢想で終わらせないのは、やはり、バーディが鳥小屋に横たわり、鳥になるシークエンスの効果が大きいと思う。

バーディが空を飛ぶ映像をイメージすること自体は難しくないかもしれないが、普通は視覚化できない。あのバードショットは完全に精神世界の域に達していた。観客として、それを一緒に体験したことで、このドラマへの理解と共感が格段に深まったと思う(凡人は、もっと高空飛行で、美しい景色を撮りたくなる。技術的にも、ドローンがない時代にどうやって撮影したんだろう?)。

あと、いつも、さり気なく登場する2人の両親の描写が秀逸。何も説明しなくても、それぞれのバックグラウンドまで透けて見える。しかも、ただのキャラクター設定ではなく、深い愛情が伝わる。

改めて、最初から最後まで、アラン・パーカー監督に魅了される、感慨深い時間だった。