くもすけ

女を売る街のくもすけのネタバレレビュー・内容・結末

女を売る街(1962年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

阿片にありついたあと、とまり木から撃ち落とされたオウムの断末魔で目が覚める。それまでの陶酔感を表す図々しい完全な静寂。ボートに荷積みされる女たち、カチカチ飛ぶコウモリ、崖から転落する男。劇場で皆で観たい楽しい一作

小さいおばちゃんが大活躍してる。阿片窟から出たとこで行く宛ないし、あんたこっから出したるよ!と言って格好良く散ってる。
なにげに気になってた長い髪のお姉さんは階段下に落ちてそれっきり。そんなこと思ってると人身売買元締めの仮面の下からかわいい声が聞こえてきて、プライスが死なばもろとも下水に引きずり込む。阿片関係なく靄のかかったような独白が全篇覆い、結びは目出度く?「彼女が何であれ今は私の腕の中」

■結社戦争
監督はザグスミス、これで名前覚えた。原作と違い舞台は20世紀初頭のアメリカ西海岸チャイナタウンで、結社戦争が題材になっているようだ。これは19世紀後半から1930sまで起こった抗争のこと。
サンフランシスコは中華系移民の入口になったが、地元労働組合から敵視されていた。当局は労働移民として男性のみ入国を許可していたため、現地の男たちは密かに女性を入国させるようになる。女性たちは結婚と売春のためになかば強制的に中国から連れてこられ、彼女たちをめぐって結社同士の抗争が勃発する。代表的な結社Tong GangはHip Sing Tong とOn Leong Tong。この抗争を“The Tong Wars”と呼ぶ。彼らは"hatchet men" や boo how doy (斧頭仔)を雇い、テリトリや女を巡って街頭で戦った。手斧が飛び交っていたのはリアルだったんか