ヴィンセント

かもめのジョナサンのヴィンセントのレビュー・感想・評価

かもめのジョナサン(1973年製作の映画)
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生涯観た映画の中で3位に位置する映画
勿論原作を読んでいる状態で鑑賞
黒澤明が言っている「稀に映画になる
瞬間があるんだよね そうとしか
言いようのない瞬間がね」
例えばデルスウザーラのエンドロール
デルスが使っていた杖が延々映される
長回しに去来する感慨•••

この映画の企画が通ったのは
原作の世界的大ヒットが根底にあるから
原作は1時間で読み切れるボリュームで
その内容は一点 哲学としての
生きるとは何なのか?
つまりこの映画は哲学とアートに
正面から向き合わざるを得ない
宿命を背負って誕生している

この映画がトップオブザトップである
3つの奇跡を認識するべきである
一つは原作が世界の歴代ナンバーワン
の大ヒット作であること
二つ目は制作と監督のバートレットが
ベストセラーになる前に映画化交渉を
開始して映画化権を獲得したこと
三つ目はジムフリーマン
後にヘリコプター撮影で死亡
つまり彼の命懸けの撮影がこの映画の
映像を支えていた

量子力学が現実が極めて仮想である事を
示唆している事実に言及する現代にして
この映画が示していた 生きる事
精神の本質が究極の「個」に由来する
本質を観せてくれる
正に稀に映画になった瞬間を内包する
奇跡的で稀有な唯一の作品である