emily

ウェディング・ベルを鳴らせ!のemilyのレビュー・感想・評価

3.3
ツォーネはセルビアの山奥で祖父と二人暮らし。しかし祖父は自分が死んだ後、ツォーネが一人になることを心配し、街に出て牛を売ったお金で、聖ニコラスのイコン、自分用のお土産、そして嫁を見つけることを命じるが。。

オレンジ色に包まれた明かりの温もりのある色彩の中、おもちゃ箱みたいな家や手作りのいたずらの数々に心踊らされる。生演奏や陽気な音楽が全編のコミカルポップな描写に拍車をかけ、リズムのよいストーリー展開に、残虐な描写や銃声が良いスパイスとなり、最初から最後まで陽気なドタバタ劇を楽しめる。

特に手作りの「催眠渦巻き」の効果は絶大。まるでファンタジーのような夢物語を見せつつも、現実をしっかり交差させ、結婚式や葬式などの対照的な描写が摩訶不思議な世界観を作り上げている。

祖父の作るアイデア満載の手作りの生活用品や、夢のあるいたずら品の数々は、ツォーネに優しさと生きていく強さと、少しのユーモアを備え付ける。爽快なドタバタ劇はどこまでもポップで陽気で、大人も子供も歌って踊ってのリズムの中で、悪党退治へ一気に畳み掛ける。

夢のあるラストにみんなパッピーエンド。探してたものもみつかり、幸せにカラッと幕を閉じていく。空飛ぶ人は誰かには天使で、でも他の人には悪魔だったりする。良いことの裏には悲しいことが必ずあるけど、少しのユーモアと知恵があれば、悲しみも幸せに。幸せはもっと幸せに。最初から最後まで笑って、リズムに乗って観客も一員になったように時間を忘れて楽しめる作品。
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