チアキジャペン

ダンサー・イン・ザ・ダークのチアキジャペンのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます


感受性が豊かすぎる余り、見ない方がいいと周りから言われつづけてきダンサーインザダークを、意を決してやっと見た。
誰に聞いてもトラウマ鬱映画というのがまたおそろしかった。


結論からいうと個人的には胸糞とか悪意とかとは対極の、次元を超えたピュアさと悲しさと美しさだった。
空想に逃避しながら、自分にとっての人生を全うするしかないセルマの頑なさとピュアさが美しくて痛々しかった。

セルマには物語の初めから終わりまで、特段親切な友人や想ってくれる人がいたんだけど、
セルマだけがそこに関心がないように見えてもどかしかった。
彼女にとっての人生は、一人息子の視力が守られて、息子が自分の目で孫の顔まで見られることだったようだから、
そのことにずっと夢中で、そしてそのことが彼女を独りたらしめてる様に感じた。
でも最後に、私は独りじゃなかったって歌えたから救われた😭✨

セルマのすごいところは人道を外れる罪を犯しても尚、自分の中の綺麗なものだけを良くも悪くも信じて見続けてることだった。酷いことをされても約束は守る頑なさとかが、救われなさに余計拍車をかけてた。
そうやって綺麗なものを信じて、空想することで色んなことを耐えて生きてきたのに、それが結果的に良くない方向へいったのがまた悲しかった。
ラストは躊躇も容赦もなくてやはり衝撃をうけた。

後日友人と作品について語ったとき、
「空想に逃避していた彼女が、最後の最後で現実世界で歌えた、ということを見てあげなきゃいけない映画。溢れんばかりの生命力を感じた」と言っていて感銘を受けた。
見る人によって様々な意見の作品だろうけど、個人的には一度見たら深く刻まれて忘れられない美しい景色みたいな映画だと思った。
ただ最後のご飯が運ばれてきたシーン、お前がしぬんか?くらい泣いた