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ダンサー・イン・ザ・ダークのcookieのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

数日間引きずったまま💧
見終わっても心の震えが止まらない衝撃作。

主人公セルマの生い立ちは、チェコからの移民ということしか語られることはない。父の名もわからないようだ。それまでの辛い人生も、一人で決断して生きてきたのだろう。
将来手術を受けさせることを大前提に、彼女はジーンを産むことを決心したはずだ。

盗んで、嘘をついて、罪を被せるような人との秘密なんてどうでもいいのに。ジーンが強盗殺人犯の息子と呼ばれないためにも、本当のことを言って!そう心の中で叫んでしまう。

ジーンの手術の成功を何よりも優先に考えてきたセルマ。ストレスがジーンに悪影響を及ぼすことをとても危惧しており、貯金の目的を知られることすら避けたかったのだろう。
盲目の自分がジーンの重荷になりたくないという思いもあったのかもしれない。

周りに良き理解者がいても、一番重要なことは明かしていなかったセルマが、たった一人に秘密を打ち明けたことで人生が大きく狂ってしまう。後に彼女を助けようとした人達の行動も、セルマにとっては全て裏目に。負の連鎖。

自ら悲運を背負ってしまう生き方がいけないと言われてしまえばそれまでだが、努力を重ねてきたセルマを私は嫌いにはなれない。
救いのない映画とも言われるが、「(ジーンは)孫が見られる」や「一人じゃない」という言葉からは、思い残すことの全くない清々しさが伝わってきた。苦しいほどに。
独りよがりの悲しすぎるハッピーエンド。そんなビョークの演技が見事だった。

元々は手術も失敗する最も悲しいシナリオだったが、ビョークの強い要望で変更されたそうだ。

カラフルなミュージカルシーンのセルマは、目も見え、隣人からも許され、生き生きとしていた🎶

見たいと思いながら20年も経ってしまったが、見て良かった!
この衝撃のままにしておきたいから、当分見直すことはないだろう。
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