おこのみやき

ダンサー・イン・ザ・ダークのおこのみやきのレビュー・感想・評価

4.1
鬱映画というよりも、主人公のミュージカルへの愛をひたすら語り続ける映画だと思った。

ドキュメンタリーのような映像の躍動感で、映画で起こることがまるで現実の出来事のように見えるが、主人公の歌声によってユートピアのような非現実の理想の空間が現れてくる。ミュージカルの場面だけ映像の彩度が上がるのも、主人公の中にある理想郷を表しているようだった。

また、「鬱映画」であるという先入観をもって観始めると、ひとつひとつの出来事がすべて不幸への伏線のように感じてしまうが、それは映画の観かたとしてもったいないような気がする。

終盤のシーンは、かなり綿密な取材に基づいているように見えた。私たちも被害者、友達、知り合いたちといっしょに目を背けずに彼女の行く末を見届ける構図になっていた。