ねこじた

ダンサー・イン・ザ・ダークのねこじたのレビュー・感想・評価

4.8
トリアーの出世作に再挑戦。約15年ぶり?

一般的に、後味が悪いとかトラウマ映画として有名やけど、
着想は「黄金の心という名の少女」という4歳の時に読んだ絵本かららしい。絵本の少女は言う、

「心をどうぞ、私はなんとかなる」

全てを与えるという行為。
トリアーは笑う、
「献身は美徳だろう?」

そして彼は、ビョークを見つけ、セルマを見て重ね、黄金の心を表現させた。

セルマ(トリアー)の空想世界は、現実逃避では無く、生きてく強さを見出す手段、方法のようなもの。
その独創的で特殊なミュージカル音楽と物語の行き来は絶品。

セルマの唄は、本来の明るく楽しいミュージカル曲とは真逆。
人間を見据えた歌詞はパンクで、またそれは聖母をも彷彿させる。彼女にある包容力、強い母性も引き立て、母と息子のメロドラマな本作に、ぴったり。

音楽は、ビョークの壮麗さ、カリスマ性を見せつけ、途轍もなく良い。実際、音楽についてはビョークが主導権を握ったらしい。

また、本作はラースにとって、アメリカ映画でもあるらしい。
彼は、死刑制度に強く反対を示してる。

再鑑して、苦痛の昇華を、作品に観た。もう、私にとっては、トラウマ映画ちゃう。

「ミュージカルでは恐ろしいことは起こらないわ」。
ねこじた

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