Keruta

ダンサー・イン・ザ・ダークのKerutaのレビュー・感想・評価

4.8
個人的トップ10に入るくらい好きな映画。

とてつもなく辛い現実と幸せなミュージカルの幻想のギャップがあまりにも切ない。
とてつもなく辛い結末を迎えるため、メンタル快調でないと鑑賞することは難しいが、観るものに大きなインパクトを残す映画であることは間違いない。

ドキュメンタリータッチな映像であるが、それがこの作品の切なさ、何故か懐かしい気持ちになる風景描写を際立たせているように見える。

特に「I've Seen It All」が流れるミュージカルシーンでは線路、電車、川、ごく普通の民家が映し出させるのだが、これらが非常に美しく見える。
遠い国の映像なのに、懐かしさが込み上げてくるのは不思議だ。
※このシーンだけでも何回も見てる。

胸糞映画というイメージが先行しているが、カトリー・ドヌーヴ演じるキャシーやジェフといった心優しい人々にも恵まれており、彼らとの交流にも心打たれるところもある。
セルマ自身ももう少し上手く振る舞えたらなと…心苦しくもなる。
私自身も真面目すぎるが故に周囲に助けを求めることが難しい時もあるため、セルマの気持ちは少し分かる。

共感できない方もいる映画かもしれないが、私自身は非常に感情移入してしまった上にドラマ面だけでもなく、風景や音楽面でも感情に訴えてくる映画だと感じているため、色んな意味で一生忘れられない映画体験となった。
Keruta

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