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ダンサー・イン・ザ・ダークのkomonoのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

チェコからアメリカへやってきたセルマは女手ひとつで息子を育てていた。優しい親友、隣人、彼女に思いを寄せる男などたくさんの愛に支えられていたが、彼女には誰にも言えない秘密があった。それは病のために視力を失いつつありいつかは失明すること、そして遺伝であるため手術をしない限り息子も同じ運命を辿るということだった。ミュージカルを愛するセルマはその稽古もしながらたくさんの仕事をこなし息子の手術代を貯めていたが……

視聴者は「何故こんな選択を?」と思わざるを得ない展開にはなるが、誰にも言っていなかった秘密を信頼して言ったその直後に裏切られ真実を突きつけられる証拠もないとなれば、もう誰も信用できなくなるのは当たり前ではある。
ただその前からも誰にも秘密を言わなかったのは語られなかった彼女の過去などが関係しているのかもしれない。そのあたりは描かれず「遺伝すると分かっていてなぜ子供を産んだのか?」と言うジェフの今考えると鋭すぎる発言に対する返答からしてもただただ家族を、ただただ愛を求めていたんだろうなと感じた。与えられるんじゃなくて与える愛を。だからこそセルマが唯一熱中できるミュージカルの世界だけは色鮮やかだったんだろうなと思う。

ジェフがセルマを連れて稽古場に来るあたりからジェフの視線や表情が切ない。セルマの隣で彼女と繋いだ手を見つめていたり、裁判中セルマを見つめる視線であったり、真ん中には映っていないけどつい見ている側の視線が持っていかれるような切なさがとても好きだった。

カトリーヌ・ドヌーヴがミュージカルをやってくれるのは嬉しい!
ウド・キアとかステラン・スカルスガルドがいるあたりはいつも通りだったね。
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