元レンタル担当

ダンサー・イン・ザ・ダークの元レンタル担当のレビュー・感想・評価

5.0
ハンディキャップを抱えた主人公に
“正直者が馬鹿をみる”といった世の中のダーティな部分が無慈悲なまでに報われない過程として描き出されている。

例えるなら...
命の優先順位が問われる場面で後先のない老人と未来ある若者とを天秤にかけたとき“後先のない老人の結末”にスポットライトをあてたような話。

衝撃的だった...。
気づくと涙が出ていた。
と、次の瞬間には静寂と虚無感に襲われた。

あのラストシーンは映画史上類を見ないほどバットエンディング。
たしかに客観的事実だけみて判断すると
”胸糞悪い”“鬱映画”なんて言われる理由がよく分かった。
この胸をえぐられるような救いようのない結末を空想と現実が逆転して欲しいと心から望む自分もいた。

しかし、ただの鬱映画に留まらず...
唯一、救いだったミュージカルだけは最期の瞬間まで彼女を裏切らなかった。
一世一代の大舞台を披露するかの如くまるで生命の散りゆく瞬間その儚さに美しさがあり彼女は演目の中で華麗に散った。
そこにこの作品の芸術性の深淵を見た気がする。

これまでに味わったことのないような感情を掻き乱されるという自分でも理解不能な感覚に陥った。
映画人生の中でも強烈な印象を刻んだ自分の感性すらも変えられるような作品とだった。


あの歌声はもう聞こえない...。


〜それでは皆さんいい夜を🌙〜

※ 録画していたのを鑑賞(WOWOWシネマ)
元レンタル担当

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