天豆てんまめ

ダンサー・イン・ザ・ダークの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

3.5
救いのない映画を一つ思い浮かべてください。と言われ、最初に脳裏に浮かぶのがこの映画だ。

不幸の波状攻撃がドーンと来て、全てを観終えた後、ズーンとする。

映画史上、稀にみるドーン&ズーン映画である😭

その昔、松本人志が映画評をやっていて、この映画に満点をつけていた。

セルマを演じたビョークの演技、歌声が素晴らしい。不幸のスパイラルから抜け出せないまま、ドンドンと極致に向かう。その合間に狂気の幻想とも呼べるミュージカルシーンの完成度が高い。

人はあまりにも辛い現実にぶち当たると、狂気の世界か、夢の世界に向かうしかないのだろうか。

ただひたすらに、不可抗力の抜け出せない沼にセルマがずぶずぶと入っていくのを鬱々と眺めた。

彼女に救いを!誰か彼女に救いをください!と祈る気力も後半は失せかかっていた。

公開当時、この映画を観た時、私は仕事に悩んでいた時期だった。

悩みがある時に観る映画は、ぱっと明るい映画を観る方が良いのだがなぜか吸い寄せられるように劇場に入っていった記憶がある。これを引き寄せの法則というらしい 笑

地獄のような世界で空想世界に生きる、息子に未來を観させる、という構図は「ライフイズビューティフル」的(これも昔、松本人志が満点をつけてきたが、この作品は私も大好き)ではあるが「ダンサー・イン・ザ・ダーク」は遥かに鑑賞後感がきつい。

彼女と共に歩く107歩の先に、私達は何を感じればいいのだろうか。

そして確かに仕事の悩みを忘れ去られるほどドーンとした気分になった。「ああ、こんな大変な状況に較べ、なんて幸せなんだろう、僕は」と思えたか、、否。いや、ただひたすらにズーンと落ち込んだ。観る映画を明らかに間違った 笑

この映画もまた、再見できぬまま、長い月日が経っている。