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ダンサー・イン・ザ・ダークのよのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

数ある映画の中でもトップクラスの胸糞映画と聞いていたダンサーインザダーク。観るのにめちゃくちゃ勇気と体力がいる事は分かりきっていたので映画にハマってから観る覚悟ができるまで5年かかった。

そして満を辞していざ鑑賞してみると、想像していた以上の最悪な出来事が続くが、鑑賞後に二度と観たくないとは思わなかった。

観ていた中で特に印象に残るのは映像表現。何本かミュージカル映画を観たけど、この映画のようなミュージカルはどこにもない。
ドキュメンタリーのような終始手ブレが激しいカメラワーク。そして一転してミュージカルの部分はチープでまるで監視カメラのような映像。
特にミュージカル部分は観たこともないような斬新さ。かつ主人公の現実と妄想の境目を上手い具合に曖昧にしていて素晴らしく魅力的だった。
これまでのミュージカル映画の常識を真っ向から否定し、それでいて過去のミュージカル映画へのリスペクトは忘れない映像表現に心を惹かれた。

さらにこの表現を、ビョークが手がけた現代的且つ映画というよりは舞台的な音楽と、不思議な唄声が圧倒的な物にしていた。(ビョークの唄声は透き通る様という表現も違う気がするし、純粋さだけではなく悲しさや切なさ、やり場のない怒り等様々な感情を感じる様な本当に不思議な唄声)
あとミュージカルの音楽の歌詞がどれも素晴らしく良かったです。

ビョークの演技も凄まじかった。考え得る以上の最悪な状況に彼女の演技が拍車をかけていて観ていて息がつまる(褒めてる)。特にラストの処刑シーンは圧倒的。

こんなミュージカル映画は観たこともないし、今後この映画を超えるミュージカル映画に出会える気もしない。それほど斬新で異端で美しいミュージカル映画だった。

さっきも書いたけど、過剰に演出されたミュージカルシーンとか大体がハッピーエンドに終わる所とか、その他にもあらゆるミュージカルの映画の常識を終始否定し続け、その中にも過去のミュージカル映画へのリスペクトも忘れない姿勢にグッときた。めちゃくちゃ良かった。
よ