み

ダンサー・イン・ザ・ダークのみのレビュー・感想・評価

4.8
人間関係というのはジーンがもらったボロボロの自転車のように、走るけどそれ以上はない。タイヤはさびている。しかしセルマは認識できないにもかかわらず、それに乗ったジーンに対して嬉しそうって思うんだよね。
そこに愛を感じず人間やってられれるか。
普段であれば、こういうテーマ作品はダサいと一蹴りして終わるのだが、素晴らしい作品だった。

人間の存在というのは、例えば、考えることができず、他者も存在しない場合、人間はそこに存在していながら存在していないともいえる。自分を認識する自分という人間すらそこにはいないのだから。
そこに他者、或いは考える力のどちらかが存在することで存在できるのだが、それがまた厄介で、この世には両方存在し、そこには自分をもった他者がたくさんいる。

母親でいることが許されないことに悲観的な作品なのではなく、自分を含めた人間が存在することそのものがくそったれなのだ。
み