なちここ

ダンサー・イン・ザ・ダークのなちここのレビュー・感想・評価

4.0
鬱憤な雰囲気と、明るい空想のミュージカル。
ひたすらに救われない。

突然セルマの脳内ミュージカルが展開されるが、
それがあるだけまだこの地獄が少し受け入れられるのかな、と...
淡々とこのストーリー見るのは辛い。
死刑執行を目の前に、愛した息子の名前を繰り返すセルマ、その恐怖と不安で押し潰されそうな演技と悲痛な叫び声が頭から離れない。

セルマの歌い方結構好きだし、音楽もリズムも割とセンスあって好きかも。

頑なに約束を守ろうとするセルマの姿が理解出来なかったりする。ピュアすぎる彼女は汚い世界とか向いてないな...
辛い現実から逃げるための空想で作り上げる大好きなミュージカル、てだけでどうしてこんな世界に...て気持ちになる。(悪いのはビルと盲目の遺伝だけかな)

手術のために死刑減刑を拒否したセルマの行動は、母親としての愛情か、それともエゴか。
これから眼が見えない生活を送るのと、
母親がいない人生と、どちらがいいかなんて
ジーンしか分からない...

"遺伝すると知ってて、何故産んだ?" の問いに、赤子を抱きたかったというエゴのために
産まれた命だから、セルマの命を賭しても眼を守りたかったのか?とか思ってしまった。

これで、もしジーンが自分の眼よりも、
幼くして死んだ母親を恨むような描写があれば
それは本当に地獄だな、と。
(何故余計に救いがないようにしちゃうんだ)

最後が衝撃すぎたな...
突然幕を閉じたセルマの人生と
"これは最後の歌ではない"のメッセージに何を思えば良いのか...
そんな終わり方するんだ...て、この監督容赦なさすぎるな...

これでセルマの周りに優しくて彼女を愛した人達が存在してなかったり、挙句の果てにジーンの手術が成功してなかったら、
救い無さすぎ胸糞すぎで最早何がしたかったのか分からないレベル。
なちここ

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